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技術情報
2015/12/24

今さら聞けない3Dプリンタ(積層造形法)

マトリックスブログ

光造形

紫外線を照射することで硬化する液体樹脂を用いた造形法。一番古くからある造形方法で試作業界などで広く普及した為、ランニングコスト面でも優れる。素材はエポキシ系でABS相当やPP相当、透明樹脂などが使えます。
ただ設置する環境が温度管理、紫外線遮断ルームなど少しハードルが高いので、専門業者向けでは有ります。寸法精度は中~高程度。

熱溶解積層法(FDM法)
今さら聞けない3Dプリンタ(積層造形法)

熱可塑性樹脂を高温で溶かし積層させることで立体形状を作成する造形法。 ラピッドプロトタイピング・3Dプリンタの造形方式の中では唯一、本物の熱可塑性樹脂が使用でき、ABS樹脂・ポリカーボネート樹脂・PC/ABSアロイ・PPSF/PPSU樹脂など熱可塑性の様々なエンジニアリングプラスチックが使用できる。
個人向けから業者向けまで幅が広い機械が選べるのが、このタイプだと思いますます。ランニングコスト面などは機械のタイプ使用樹脂によって大幅に変わります。事務所にも置けるのでメーカーの初期試作検討などに向いていると思います。寸法精度は低~中程度。

インクジェット法

液化した材料またはバインダを噴射して積層させ、形状を作る造形法。インクジェットプリンタの原理を応用している。インクジェットプリンタのカラーインクを使用して、カラー造形物も作成されている。
機械自体は数百万程度の機械が多く微細な形状などが得意分野だと思います。ランニングコスト面などは機械のタイプ使用樹脂によって大幅に変わります。事務所にも置けるのでメーカーの初期試作検討やデザイン検証などに向いていると思います。寸法精度は中~高程度。

粉末法

素材粉末を層状に敷き詰め、高出力のレーザービームなどで直接焼結(粉末焼結式積層法)したり、インクジェット方式でバインダを添加して固めたりする(粉末固着式積層法)などして造形を行う手法。前者では、ナイロンなどの樹脂系材料、青銅、鋼、ニッケル、チタンなどの金属系材料などが利用できる。
後者ではスターチ(デンプン)、石膏などの材料が知られ、ランニングコストを抑えた3Dプリンタに利用されることが多い。金属が出来るプリンタは経済産業省主導のもと国家プロジェクトになっており一番期待される分野になります。
コスト面など石膏は低コスト、金属は高コストになり機械自体も数百~億単位と幅が広いです。デザイン検証から試作メーカー、金型や金属加工メーカーなどの分野向けだと思います。寸法精度は低~高程度。
主流はこの4タイプで、それぞれの特徴が違うので使う場面も変わります。

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光造形、粉末法は試作メーカーなどが所有していますので、注文委託してからの製造になります。委託製作にあたって用意する物は3Dデータ(igs/stp/stl/x_t/sat)が必要になりますので、用意するか委託して製作するかの2通りになります。
納期は数日から2週間程度、形状や大きさ仕上げ程度で大きく変わります。 熱溶解積層法、インクジェット法は試作メーカー、メーカー開発部門、個人所有など様々でコストより速さ優先の場合に適していると思います。機械自体所有すると保守料、材料、メンテナンス、修理など費用がかかりますので、稼働率があまり高くない場合の所有はお勧め致しません。その代わり形状を素早く手に入れるには最適です。

最近は用途によって使い分けられる環境が整って来ていますので、ものづくりがよりデジタル化され身近な物に成って来たなと感じます。
ものづくり自体は無くならないと思うので、ものづくりする人たちをこれからもサポートしていきたいと思います。